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常識にとらわれる怖さ―ダイヤモンド・プリンセス号の教訓

小出しの対策で墓穴を掘る

今年の2月3日に横浜港に寄港した豪華クルーザー「ダイヤモンド・プリンセス号」の新型コロナウイルスの感染数の増加がとどまらない。2月18日現在、乗員・乗客3711人のうち、542人が感染した。まさに「ダイヤモンド・プリンセス号」ならぬ豪華客船「新型コロナウイルス号」だ。まだ全員検査をしていないので、まだ増える可能性がある。

その要因については、これから本格的に分析されるはずだが、有力な説として取り沙汰されているのが、気密性の高い船内を、新型コロナウイルスが漫延した空気が循環したからではないかとされている。これでは手洗いやうがいがいくら船内で励行され、検疫官や医療関係者がいくら、物々しい防護服に身を包んでも収束に向かうはずがない。

感染症対策の基本を踏まえていない取り組み

当初政府は、新型コロナウイルスの検査体制が万全ではないため、感染の有無は症状のある人から小出しに調べていた。それを最初から民間の検査機関や海外の機関にも依頼して一気に調べていれば、新型コロナウイルスが漫延した空気に長時間、乗員・乗客をさらすこともなく、今回のような集団感染はなかったはずだ。

しかし、今回のような事態になれば、まだエビデンスの乏しい新たな対策は取りづらい。どうしても過去に実績のある常識的な対策しか取れない。それがアルコール除菌剤による手洗いでありうがいの励行だ。ただアルコール除菌は手指の殺菌はできても、くしゃみや咳で飛び散ったウイルスや浮遊菌については効果はない。空間除菌で、現在最も効果が高いと言われている次亜塩素酸(水)をミスト化して散布する方法では、6畳程度の部屋であれば、50ppmの次亜塩素酸水の噴霧で、2分もすれば99,999%以上が除菌できるとされている。ただ、前例がないことを提案・実行することは政治の世界であれ、官僚の世界であれまずできない相談だ。

つまり今回のダイヤモンド・プリンセス号の集団感染の悲劇は、常識でしか物事が推し量れなくなっている現在の日本では、起こるべくして起こった事態である。ただ、新型コロナウイルスは暑さにも湿度にも強いという説がある。それが事実であれば、日本では梅雨になっても収束せず、経済的にも大きな打撃を受ける可能性もある。頭から腐りかけている内閣では、はなはだ心もとない。

 

拝啓吉田昭夫イオン新社長様

イオンで23年ぶりの社長交代

2020年1月10日、イオンが23年ぶりとなるトップ状態を発表した。3月1日付で岡田元也取締役兼代表執行役社長グループCEOが退任、吉田昭夫代表執行役副社長ディベロッパー事業担当兼デジタル事業担当が代表執行役社長に就任する。

イオンの社長交代は非常に唐突だったが、記者会見も雰囲気は悪く、お決まりの2ショット撮影もなかった。しばらくは今回の社長交代をめぐってさまざまな憶測が流れるだろ。こうした、ぎすぎすした社長交代となったのは、主力業態であるGMSに先行きの見通しが立たないことと、これまで比較的に好調だったSM業態まで利益率がダウン、祖業の小売業が不振を抜け出せないことが大きい。

稼ぎ頭は吉田新社長が、ここ9年ほど籍を置いていたイオンモールだが、これは裏返せば好調な専門店から賃貸料の形で、利益をかすめ取っているからともいえる。

そこでですが、拝啓吉田昭夫新社長様

まだどの小売企業もやったことのないことを打ち出しませんか!イオンでしかできない、おあつらえ向きのテーマがあります。それは「イオンの全店舗を除菌店舗」にすることです。2019年の年末、イオンが店舗スタッフの売場でのマスク装着禁止の統一見解を打ち出したとき、ネットでは大きな反発がありました。やれ「パワハラではないか」とか「風邪やインフルエンザがうつるかもしれないと思うと、怖くてイオンに行けない」といった声がネット上に溢れました。

しかし年明け早々から、中国・武漢で新型コロナウイルスによる肺炎が流行し、感染者及び死亡者が急増するに及んで、小売業でのマスク問題はすっかり忘れ去られ、中国ではマスクはプラチナ化していきました。

だからこそ、拝啓吉田昭夫新社長様

逆転の発想で「イオンの店舗をほぼ100%細菌、ウイルスを取り除いた空間除菌店舗」にしませんか。もちろん来店時の移動途中には、ウイルスが空気中に浮遊していますが、イオンのGMSやSM、CVS、ドラッグストアにいる限り、ウイルスとは無縁のクリーンな環境下で買物できます。これほど安全な店舗はありません。

その空間除菌できる液剤として、いま最も効果が期待できるのが次亜塩素酸(水)です。この次亜塩素酸水を大型噴霧器で店舗内に散布すれば99,999%以上の空間除菌ができます。しかもこの次亜塩素酸水には除菌効果だけではなく、消臭効果もありますから、嫌なニオイも分解できます。あるいは春先に多くの人を苦しめる花粉も分解、店内の空気中の花粉を分解することで、目や鼻のかゆみがなくなります。つまりイオンの店舗に来店することで、ウイルスはいうまでもなく花粉や悪臭も分解、快適な空間にできます。

しかし、拝啓吉田昭夫新社長様

問題はコストかもしれません。しかし、家庭用と違い業務用ですからコストダウンは可能です。そして仮に100億円必要としても、その結果として4兆円売り上げるGMSとSMの売上の3%が営業利益になれば、100億円の投資が1、200億円の利益を生むことになります。

訪日外国人4,000万人時代の衛生管理についての社会実験をしよう

時代遅れの日本の抗菌薬治療

本稿執筆は1月19日。多くのメディアが中国で発生したコロナウィルスによる新型肺炎の日本での発症を取り上げている。また年末から年初にかけては、テレビはバラエティ番組の合間に恒例のインフルエンザの流行を取り上げており、相も変わらずワクチン接種をを呼び掛けている。

その一方で新聞、雑誌ではここへきて反抗菌薬(抗生物質)キャンペーンが増えてきた。まず年末に週刊現代が「最後はみな肺炎で死ぬ」のテーマで医療健康大特集を組めば、年初の朝日新聞は「抗菌薬処方6割が不必要」という自治医大などの調査を発表した。抗生物質が効かなくなっていることは、かねてからいわれてきたことだが、大手新聞が正面から取り上げることは、これまでなかったことだ。

さらに2020年1月20日号の「AERA」では、「耐性菌から家族を守る」のタイトルで特集を組み、抗菌薬の効かない耐性菌による死者は8、000人に及ぶと具体数字まで上げて報じられている。AERAでもウイルスが原因でかかる風邪やインフルエンザに、いくら抗生物質を処方しても治療にならないことが強調されている。それどころか、抗生物質の多用は新たな耐性菌を生み、ヒトの生命を脅かす危険が増すことについても触れている。

訪日外国人4,000万人は手放しで喜べるのか

ところで訪日外国人の数を増やし、日本の内需の一翼を担ってもらう観光立国推進は、第二次安倍内閣の最も成功した施策かもしれない。2019年の訪日外国人の消費額は4兆8113億円と1月17日発表された。2020年の4、000万人達成は難しそうだが、東京オリパラの年でもありそれに近い数字に迫りそうだ。いまや3、000万人を軽く超えている訪日客が半減でもすれば、ホテルや旅館の連鎖倒産は地方を中心に大変な数になり、社会不安を引き起こしそうだ。

それだけではなく、これまで日本には存在しなかった新型ウイルスが入ってしまうのではないかという不安は潜在的にある。つまりこれだけの訪日客が簡単な審査だけで入国できるとすれば、いつパンデミック(感染爆発)が起こらないとも限らない。感染力が強い新型ウイルスが侵入してしまえば、当面は有効な治療法もないため、万人単位の死亡者が出る可能性もある。

そしてテレビのニュースショーなどの専門家やゲストのコメントを聞いていて思ったのは、日本が安全を担保できる衛生管理の仕組みは、これまでの専門家に任せていても出てこないということ。新型インフルエンザの侵入を防ぐための「水際作戦」で思い出すのは、2009年GWの事例だ。この時は4月29日に危険レベルを世界的大流行目前という「フェーズ5」に引き上げたこともあって、成田空港での検疫検査が連日報道された。ただあれで効果があるのかという見方が圧倒的に多かった。しかし、いま同じような事態になれば、同じような取り組みになるだろう。それほど日本のウイルス侵入阻止対策には進歩がない。それは世界各国とも同じかもしれないが。

一つの発明が大きく事態を変える

あの新型インフルエンザの水際作戦から約10年、状況は変わった。それは除菌剤のレベルが上がったこと。現状、除菌剤として最も効果が高いといわれる「次亜塩素酸」の使い勝手が良くなり、なおかつリーズナブルな価格での使用が可能になったこと。次亜塩素酸は気体では使いづらいため、液体化し「次亜塩素酸水」として使用する。

ところで、この次亜塩素酸水には「電解法」「二液法」「緩衝法」の3つの製法がある。最も古いのが電解法だが、これは低濃度のものしか作れず除菌力が弱い。また二液法は塩素を素材とするため、霧状に噴霧すると、どうしても塩素くさい。そうしたウイークポイントを解消したのが「緩衝法次亜塩素酸(水)」だ。この次亜塩素酸水は商品化されてからまだ10年ほどしかたっていない。

しかし、水と次亜塩素酸ナトリウムを緩衝体に通すことによってつくられる「緩衝法次亜塩素酸」は、濃度の調節が容易なうえに除菌力が高く価格もリーズナブルになったことで、公共的な衛生管理の新しい可能性を開くことになった。それは緩衝法の「次亜塩素酸水」の販売に関わるものとして実感できるところだ。

次亜塩素酸水を加湿器、あるいは噴霧器でミスト化して衛生管理に活用するそのコンセプトは「空間除菌」だ。インフルエンザをはじめとするウイルスに感染しないためには、空気中に浮遊するウイルスを100%に近く除菌することが一番の近道。一つの空間のウイルスをゼロにできれば、そのウイルスに感染はしない。

今後4,000万人近くまで増えそうな訪日外国人が持ち込むかもしれないウイルスを食い止めるためには、罹患者の発見と隔離治療をこれまでと同様徹底するとともに、潜伏期の患者予備軍が移動途中でまき散らすウイルスも除菌する必要がある。

飛行機、電車、バスなど移動途中の除菌にも注力

つまり、そんなことできないと過去の常識で決めつけるのではなく、次亜塩素酸水のミストを使った空間除菌によるウイルス菌のゼロ化が可能かどうかの社会実験をしてみる価値はあるのではないかということだ。成田、羽田を筆頭に国際便が運行されている空港はかなりの数に上るが、全日空、日本航空をはじめ海外の日本便も飛行機の内部を空間除菌してもらう、日本についても入国管理室、ラウンジ、そして年に向かう電車やリムジンバスを無菌化してもらえば、ヨーロッパ便であれば、少なくとも20時間近くは無菌状態での移動となる。その間ウイルス潜伏期の人からの感染は防げるから、新型の強力なウイルスであっても感染者数は減少するはずだ。

問題はコストであり、これから具体的なコストを積算しなければならないが、イメージとしては1機116億円でF35を整備するよりは、はるかに安くインフルエンザ流行期の海外からのウイルス侵入を防げるのではないか。これは健康保険の薬剤費を安くできるという二次的効果も期待できる。

健康保険制度で日本人の健康は守られるのか

日本の皆保険制度は、安心・安全のセーフティネットとしてはすぐれた制度である。安心して病気ができるということではなく、何かあったときに保険をかけていれば、病院に行けることが、どれほど有難いかということだ。保険を掛けていなければ、たとえ病気になっても我慢してしまい、病状が悪化、最終的に命取りになるケースもある。そのため悪い面としては、大した病気でなくても、「とりあえず病院に行っておこう」と思ってしまうことだ。総合病院であれ、開業医であれ来院してくれた患者は「お客さま」であり、とりあえず検査をしたり、薬を出したりといったパフォーマンスをする。「こんなの病気じゃありません」と押し返してしまえば、それが曲解され、口コミやネットで話題となり評判が下がる。

しかし、このようなことが続き、高齢化も進行した結果、日本の健康保険は医薬品だけで42兆円もかかり、今後さらに増える勢いだ。そのため、これまで1割負担だった70歳以上の高齢者を所得に応じて2割負担にするなど、何とか健康保険の維持を図ろうとしている。

そして健康保険制度も一度制度化してしまうと、そこには利権が生まれ、それで暮らしを立てる勢力が生まれる。また医学を盲信するあまり、健康保険の運用を間違い、無駄遣いが生じてしまうということもある。例えば日本の医療ではウイルスが原因の風邪にについても抗生物質を処方する。これではお金が発生するだけで治療効果は期待できない。コレステロール治療薬、降圧剤なども医療医薬品の金額としては、かなりのボリュームだが、効果はほとんどないというのが、世界の医学からすれば通説となっている。そのような医薬品のガラパゴス化が可能だったのは、それだけ健康保険会計に余裕があったということだ。それが現在は余裕がないどころか、将来的には破綻も心配されている。それだけにいかに効率良く運用するかが重要になる。

その端的な例がインフルエンザ対策だ。インフルエンザ自体は、一時的に高熱は出るが、体力さえあれば1週間も安静にしていれば治る病気だ。ただ毎年1000万から1500万人が罹患するという意味では大変な病気だ。しかも罹患を疑って病院に行く人も含めればもっと病院に行く人が増え、流行期には病院は大混雑し、より重要な病気が見逃される可能性も増える。また抗体がまだできていない小学生や中学生では、保菌者が無理して登校すると一気に広まり、学級閉鎖、学校閉鎖といった社会問題になる。職場では一人の保菌者から次々に感染が広がることもある。会社も1週間出社できなくなるので、その経済的損失は所得500万円の社員で会社の社会保険負担まで含めれば、1日5万円として1週間で25万円。仮に社員1万人の会社で10%の人がインフルエンザにかかれば、治療費とは別に2億5000万円の損失になる。

インフルエンザについては、最近はワクチン接種による予防が強調されるようになったが、インフルエンザ罹患者を減らし、健康保険会計のスリム化をめざす場合、衛生管理の徹底こそが重要。それも手洗い励行やうがいの徹底ではなく、空間除菌こそが重要だ。ざっくりいえば、ワクチン接種で約600億円前後、タミフル、ゾフルーザなどの医療用医薬品が約500億円、病院の人件費が約1000億円とすれば、今でもインフルエンザの予防、治療に約2000億円かかっていることになる。この2000億円で保育園、幼稚園、小中学校、人が集まる駅構内や通勤電車の中、ショッピングセンターや百貨店、スーパーなどを除菌し、感染症のもとになるウイルスを空間から取り除いてしまえば、インフルエンザの感染者はかなり減るはずだ。そして空間除菌の液剤として、現状で最も効果が高いのが「次亜塩素酸水」ではないかと言われている。

都市型ファーマシー業態で東京市場に進出したコスモス薬品

九州からチェ―ン展開が始まり、中・四国、近畿、中部にまで出店エリアが拡大してきたコスモス薬品の成長が止まらない。19年5月期には売上高は6000億円を突破、今後東日本でも店舗展開が進めば、売上高は1兆円を超える可能性が大きい。

コスモス薬品は、ルーラルエリアに売場面積600坪を超える大型ドラッグストアを展開、食品構成比も高かった。同社が成長するきっかけになったのは、スーパーマーケットが進出できないような人口の少ない地域に加工食品だけではなく、生鮮食品や日配まで品揃えし、SMの機能を取り込んだことが大きい。ことに九州では、寿屋、ニコニコドーの大手2社が相次出倒産、食品を供給する店舗が一時期少なくなったことも大きく影響している。

東京市場にはサンドラ、マツキヨ、セイジョーの小型店をライバル視

しかし、今年5月から始まった東京での出店は、これまで福岡、大阪、広島などで5店舗展開していた都市型店舗のファーマシーでの出店となった。広尾、中野、西葛西に50坪前後の小型店舗を出店した。その店舗形態は、サンドラッグ、マツモトキヨシ、ココカラファイン(セイジョー)などの医薬品、化粧品などのウェイトの高い店舗フォーマットだ。1店舗当たりの売上高はそれほど大きくないが、利益率の高い店舗だ。DgSチェーンは全般的に利益率の高い企業が多い。逆にいうとDgS業態の高利益体質を支えているのは、この都市型ファーマシー店舗であり、5〜6%という日本の小売業には珍しい高収益企業が続出する結果になった。

ところが、DgSチェーンの利益源だった都市型ファーマシー業態を脅かす店舗が現れた。コスモス薬品が東京で出店を始めた小型ファーマシー店舗だ。まだ3店舗だけなので、サンドラやマツキヨの埋もれているが、同店の価格インパクトは大きい。
たまたま買う必要があり、花王の「リンスのいらないメリットシャンプー」の詰め替え用を飼ったのだが、コスモス薬品中野店は、1割引きキャンペーンをやっていたこともあり、税込み約350円。それに対してサンドラッグ約500円、マツモトキヨシ約550円(いずれも税込み)と大きな差がついていた.たった1品でここまで差がついてしまっていると単品購入でも、その差ははっきりわかるし、売れ筋商品を5、6品買えば価格差はかなりのものになる。

今コスモス薬品は、東京市場ではほとんど目立たないが、これが都市型ファーマシー店舗でだけで、100店舗、200店舗に増えて来れば、多くの女性がその価格差を知ることになり、それが口コミやSNSに反映し集客力が急増することも考えられる。

小型スーパーの八百幸2号店の開店が遅れるヤオコーに内在する理由

横須賀市のエイヴイを買収、連結決算では営業収益が4,350億円(2019年3月期)までボリュームアップしてきた株式会社ヤオコー。同期の営業利益率も4.11%と高い水準にある。同社がエイヴイを買収したときには「なぜ?」と疑問を呈した人が多かったが、こうして決算数値を見ると、ヤオコーが売上高1兆円構想を達成するためには、競合企業の買収は不可欠だ。2019年2月期で6,986億円とほぼ7,000億円に近づいているライフコーポレーションと比較すると、ヤオコーの置かれている位置は明らかだ。

ヤオコーが売上高を1兆円に近づけるために、もう一つ強化したいのが、売場面積300坪以下の都市型小型スーパ―の出店増だ。鳴り物入りで2017年11月にオープンした同業態の八百幸成城店だが、それ以降1年7か月が経っても2号店の出店がなく、出店計画を見ても、2020年3月末まで小型店の出店予定はない。

細部に注意を払い過ぎ、MDの絞り込みができないヤオコー

ところで八百幸成城店のあと、ヤオコーで小型店の出店が滞っている要因は、成城店の売上・利益実績が予算を下回っていることと、300坪ストアのMDがなかなか決まらないという事情がある。ヤオコーは売場面積600坪前後の店舗が多く、お客さまの豊かな食生活を実現するためのラインロビングには秀でている。逆に600坪を450坪に、さらに300坪にするための、絞り込みに関しては思い切りが悪く、「あれも残したい」「これは残す必要がある」と考えていくと、いつまで経っても300坪ストアのプロトタイプができない。

ヤオコーとは対照的に、気持ちいいくらいに思い切りよくMDを決めていくのが、ヤオコーと業務提携しているライフコーポレーションだ。同社は今年4月、コーナン商事が大阪市中心部に開発した店舗に76坪の超小型スーパーをテナント出店した。このMiniel西本町店は、超小型店舗のため、生鮮食品はカット野菜、カットフルーツなどの即食商品だけで、品揃えは弁当やサンドイッチ、総菜などや、飲料、スイーツ、加工食品、ワインをはじめとする酒類などが中心。担当バイヤーからすると、断腸の思いでカットした商品も多かったはずだ。

またMiniel西本町店の近くには、ライフ初となるオーガニック食品スーパーである「ビオラル靭店」もある。2016年6月にオープンした同店は、開店当初こそやや苦戦したが、2018年1月にリフレッシュオープンした後は、好調に推移している。その要因としては、ライフのMDの思い切った絞り込みがある。

ヤオコーとしては、ライフとの業務提携のなかで、商品や店舗運営のディティールを研究するだけではなく、思い切りのいい絞り込み手法についても学ぶべきではなかろうか。しかし、絞り込みはスキルではなく、意識の問題でもあり、これが一番難しい。

いまホットプレートクッキングはどうなっているのか

いまからおよそ30年ほど前だろうか。「家族する」という言葉が話題になったのをご存知だろうか。長年一緒に仕事をした畏友辻中俊樹氏が考えだした言葉だ。それ以前「家族」はあって当然のものだった。それが意識して「する」ものに、時代とともに変化したのだ。「家族する」という表現は、その間の機微を見事に言い表していた。

そして食事でいえば、当時大流行したのが、ホットプレートを使った焼肉であり、お好み焼きや焼きそば、冬場の鍋料理などだ。ホットプレートで焼肉をする際には、ダイニングルームとほかの部屋につながるドアを閉め、ニオイがほかの部屋に流れ込むのを防いだものだ。それでも1週間ぐらいは、外出から戻ると焼肉のニオイや、お好み焼きであればソースのニオイがこもっていて、閉口した人は多かったのではないか。ただ当時は、ニオイはきつくても、家族が集まって食事をする「集食」が価値観として上回っていたため、ホットプレートクッキングの頻度は高かった。

それが時代が進むとともに「ニオイ」が家庭から追放されるようになる。それはタバコのニオイが家庭の居間から消え、ベランダのホタル族がいなくなり、レンジフードの下からも追放されていったのと、軌を一つにしている。タバコはベランダで喫うと、ベランダ経由で隣に入っていくし、夏場窓を開けていると、レンジフードの煙が回り回って、子ども部屋に入っていったりする。こうしたかつては許されたことが、許されなくなったことは、ニオイに関しては非寛容な時代になってきたということだ。

雑貨売場の消臭剤では生活臭は消えない

それはドラッグストアやスーパーマーケットの消臭剤売場を見ても明らかだ。売場には消臭剤はいうまでもなく、最近流行のアルコール除菌消臭剤なども,所せましと並んでいる。消臭剤といえば、ずっと小林製薬とエステーがマーケットリーダーだったが、そこにP&Gの「ファブリーズ」と花王の「リセッシュ」が参入、市場は大きく広がった。小林製薬とエステーの両雄時代には、トイレ用や玄関用の芳香消臭剤が中心だったが、大手メーカーのエントリーによって、マーケットはリビングや寝室にまで広がった。
つまりP&Gの「ファブリーズ」のCMでいえば、新たに布用消臭剤というカテゴリーを創出、リビングのソファやカーテンはいうまでもなく、男性用スーツやスニーカー、ベッドのシーツにまで用途は拡大した。
ただわずか数百円の商品を、十数回スプレーするだけで、メーカーが主張するような消臭ができれば、経済的にもメリットは大きいが、冷静に考えればそれは不可能だ。もしそれができれば、魔法の液剤ということになる。

ココカラファイン吉祥寺南口店

 

 

 

 

 

 

「何も足さない」「何も引かない」次亜塩素酸「エヴァ水」
しかし、冒頭で触れたような焼肉屋お好み焼きなどの生活臭を消臭してくれる液剤がある。それは知名度が少しずつアップしている次亜塩素酸だ。同成分は気体では扱いが難しいため、液体化して次亜塩素酸水として使用するのが一般的。例えば私が販売に関係しているエヴァテック研究所の次亜塩素酸「エヴァ水」でいえば、超音波式加湿器に濃度50ppm=0,005%の「エヴァ水」を入れ、焼肉開始から2時間ほどエヴァ水を噴霧すれば、焼肉臭は消える。
次亜塩素酸臭の消臭メカニズムは、従来の芳香消臭剤とは全く違う。従来の消臭剤は、空気中の嫌なニオイをマスキングしたうえで、フレグランスでニオイを整えるのだ。これでは嫌なニオイを消臭しているわけではないので、悪臭をごまかしているだけに過ぎない。
それに対して、次亜塩素酸「エヴァ水」は、ミスト化した次亜塩素酸水が,嫌なニオイを取り囲んで分解し、最終的に水に戻す。つまりニオイそのものを99,9999%は消臭できるので、嫌なニオイを根本的に断つことができる。次亜塩素酸「エヴァ水」は、原水と次亜塩素酸ナトリウムを緩衝体を通して生成したもので、他の生成法でつくった次亜塩素酸水のように塩素も使っていないし、他の液剤を足したり、何かを引いたりしているわけではない。要するに次亜塩素酸「エヴァ水」は何も足さず、何も引かない非常にナチュラルな液剤だ。もちろん安心・安全性の高さには定評がある。
そういうことでいえば、家庭内の消臭もこれからはコストがかかることを認識しなければならない。従来型の置き型消臭剤やスプレータイプの消臭剤は、1日当たりにすれば20円あるいは30円しかかからなかった。その代わりに根本的な消臭はできなかった。それに対して、次亜塩素酸水による消臭は、嫌なニオイを根こそぎ取り去るため効果は絶大。ただカセットボンベ1本を使い切って完璧な消臭をすると600円前後かかる。つまり家庭内の空気を完全に消臭するためには、コストがかかる時代になってきたのだ。
ちなみにこの次亜塩素酸は、消臭効果だけではなく、除菌機能も高く、各種食中毒菌、ノロウイルスやインフルエンザウイルスの除菌にも効果を発揮する。

長崎の「蛇踊り」のようなダクトが天に伸びる「サミットストア鍋屋横丁店」

今年3月23日(土)に、東京都で83店舗目となる「サミットストア鍋屋横丁店」が、中野区にオープンした。同店は2018年2月に開店した江原町店、本天沼店{同年10月)、三田店(同年11月)に続く都心型小型店の4号店になる。

サミットストア鍋屋横丁店は、11階建ての集合住宅の1階,2階を使った店舗で、売場面積は2層で918m²(=約278坪)。1階は惣菜や寿司、ベーカリーなどの売場で、即食系商品の購入を目的に来店したお客さまは、そのまま「サミCafe」で食べて帰ったりする。

生鮮食品や日配、調味料、加工食品などは2階に品揃えされており、サラダやカットフルーツ、鮮魚はオープンキッチンで提供されている。時間帯にもよるが、お昼や夕方にはデリカや寿司などを扱う1階のほうが客数が多いのではないか。レジは1階の集中処理になっており、セミセルフレジの入力レジが6台、精算レジ14台が配されている。面白いのは、レジの一部では、レジ担当者が袋詰めまでするようになっていること。これは同店の来店客は高齢者も多く、袋詰めまでして欲しいというニーズが高かったからだ。

天まで伸びる排気ダクト

しかし、サミットストア鍋屋横丁店で驚くのは、その外観にある。同店では1階の駐輪場側に、惣菜などの排気ダクトが設置されている。注目されるのはその長さ。同店のダクトは、どんどん上へ伸びて屋上を超える高さから排気されている。それは装飾こそないが、日本でも各地の中華街などに伝わっている「蛇踊り」の龍のようだ。
最近、飲食店やスーパーマーケットが入る新築ビルや集合住宅は、計画段階から排気ダクトを組み込んで設計している。これは飲食店が複数入っているビルでは揚げ物、焼き物など火を使う料理のニオイが集まると悪臭となり、昔のように低層階から排気すると、近隣からのクレームが殺到してしまうからだ。
たとえ周囲には何もない屋上を超えた位置からニオイを排気しても、そのニオイは薄まるだけで、何らかの影響を残すことも考えられる。したがって今後は、単にダクトを流す伸ばすだけではなく、途中に消臭ゾーンを設けてクリアな空気を排気することが必要になるかもしれない。
ここへきて人口の都心回帰が進むとともに、飲食店だけではなく、コンビニやスーパーマーケットの都心への出店が増えている。そうなると新築物件はいいが、既存物件への出店では、スーパーでも総菜の売上比率が高くなっているため、総菜調理時のニオイの処理が、今後は大きな問題になってくるはずだ。

マツモトキヨシHDとココカラファインが資本・業務提携

現在のドラッグストアの隆盛をリードした一要因は、マツモトキヨシHDの成長だったことは間違いない。創業者の名前と店名を巧みにリンクさせた同社のテレビCMは、ドラッグストア業態の認知に大きく貢献した。日本の場合、マツモトキヨシ以前はドラッグストアではなく「薬局」だったのだ。

しかし、そのマツモトキヨシモNO.1チェーン包囲網には抗えず、最近はその成長力はかなり鈍化していた。ウエルシアHD,

マツモトキヨシ吉祥寺サンロード店

ツルハHDなど競合チェーンが、地方の有力チェーンをM&Aすることで売上を拡大し、あっという間に追い抜いていったこととは対照的だった。何よりもマツモトキヨシHDにはM&Aの情報が入らなくなり、気が付くと地方のドラッグがアンチ「マツキヨ」勢力になっていったのだ。

売上高1兆円超のドラッグチェ―ンが誕生する

そのマツモトキヨシHDが、まもなく「令和」となる2019年4月末に、それまでの不振を吹き飛ばすクリーンヒットを放った。同社は大手ドラッグチェーンの1社であるココカラファインとの資本・業務提携を発表したのだ。マツモトキヨシHDとココカラファインとの関係が、資本提携から経営統合にまで進めば、両社の合計売上高は、1兆円を超えそうだ。2018年度のドラッグストアの上位売上高(予想)は、マツキヨ&ココカラの9850億円を筆頭にウエルシアHD7791億円、ツルハHD7718億円、コスモス薬品6100億円、サンドラッグ5883億円と続く。

業態化の始まりが、1990年代と遅かったドラッグストア業態だが、大手各社が中小チェーンをM&Aすることで、大手チェーンへの集約が進んでいる。おそらく、あと10年ほどの間に、1兆円超のチェーン4~5社に集約されそうだ。

ココカラファインに問題ありかもしれない
ところで今回の両社の資本・業務提携は記者会見での談話によれば、当初は商品仕入れやPBの共同開発の共同化など業務提携についての話し合いから始まったが、やがて資本提携の可能性もあるのではないかということで、マツモトキヨシHDサイドから資本提携の申し出があったとのこと。これはこれまでセガミメディクスとセイジョーの関係を軸に近畿、中部、北海道、中国などのドラッグチェーンを取り込んで拡大してきたココカラファインの財務が必ずしも盤石ではなかったということかもしれない。ココカラファインのなかでは、旧セイジョーの利益率は高いが、その他のチェーンはそれほどでもない。

ちなみにマツモトキヨシHDとココカラファインの2019年3月末現在の店舗数は、3008店舗にのぼる。そのうち調剤薬局は581店舗で残りの2427店舗がドラッグストアとファーマシーである。両社の今後の課題は、2427店舗にのぼるドラッグストア業態とファーマシー業態が、さまざまな出自を持っているため、業態として不揃いなこと。これがオペレーションの標準化を阻害し、利益率アップの妨げになっている。そのような課題を克服するためには、強力なリーダーが必要なことはいうまでもない。

ココカラファイン吉祥寺南口店

1,000万人超が続くインフルエンザ推定患者数

毎年、秋口から年明けにかけて大流行が続くインフルエンザ。薬局サーベイランスによると、2018年36週から2019年第6週までのインフルエンザ推定患者数は、約1、045万人と1,000万人を上回った。2017/18シーズンは、年間では約1、458万人だったが2018/19シーズンも、このままいけばほぼ前年並みぐらいまではいきそうだ。年間ではほぼ10人に1人がインフルエンザにかかっていることになる。

インフルエンザは予防接種や罹患すると薬代など治療費もかかるが、最近は5日間は会社に行けなかったり、受験生は入学試験を受けられなかったりする。こうした精神的打撃の方が大きかったりする。15の春を迎えた受験生の人生が暗転することもある。

2018年10月1日現在の人口統計をもとにした累積罹患率は8,25%。年代別罹患率は、5~9歳が27,56%、10~14歳20,31%、0~4歳19,28%、15~19歳10,86%、30~39歳8,65%、20~29歳8,18%、40~49歳7,66%、50~59歳6,23%になっており、40歳以上になると全人口平均罹患率を下回るようになる。これを見ると抗体がまだできていない14歳までのインフルエンザ罹患率が高くなっている。

除菌シートと除菌スプレーでインフルエンザ予防

このように毎年猛威を振るっているインフルエンザだが、ちょっとした工夫で大きな効果を上げた事例がある。その舞台になったのが小田原の市立酒匂中学校だ。同校では2017/18年シーズンは約450人の生徒のうち133人がインフルエンザにかかったが、2018/19年シーズンは19人まで激減した。比率にすると約30%が約4%までダウンしたことになる。
同校では放課後に「除菌係」がアルコール除菌シートで、多くの人が触れる机や椅子、教室のドアノブなどを拭きインフルエンザウイルスに感染することを予防している。インフルエンザウイルスは、飛沫感染と接触感染の二つが、2大感染といわれている。咳やくしゃみで飛んだウイルスでうつる飛沫感染は、マスクで防ぐのが最も効果的。ただ飛散したウイルスが机や椅子に付き、それに触れることでインフルエンザにかかることも多い。つまり除菌シートで机やドアノブを拭くことは、非常に理にかなったインフルエンザ対策といえる。そのうち「いきものがかり」ならぬ「じょきんがかり」がデビューするかもしれない。

しかも酒匂中学校では、除菌シートで拭いた後、教室内を除菌スプレーで減菌している。10~14歳のインフルエンザ罹患率は20%を超えているし、5~9歳も27%超と高い。つまり除菌シートと除菌スプレーでインフルエンザウイルスを除去すれば、小学生、中学生の年代では、かなりの効果期待できる。そして、もし小中学生のインフルエンザ罹患率が減れば、秋冬の開業医の混雑が緩和され、もう少し丁寧に診てもらえるようになるかもしれない。