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訪日外国人4,000万人時代の衛生管理についての社会実験をしよう

時代遅れの日本の抗菌薬治療

本稿執筆は1月19日。多くのメディアが中国で発生したコロナウィルスによる新型肺炎の日本での発症を取り上げている。また年末から年初にかけては、テレビはバラエティ番組の合間に恒例のインフルエンザの流行を取り上げており、相も変わらずワクチン接種をを呼び掛けている。

その一方で新聞、雑誌ではここへきて反抗菌薬(抗生物質)キャンペーンが増えてきた。まず年末に週刊現代が「最後はみな肺炎で死ぬ」のテーマで医療健康大特集を組めば、年初の朝日新聞は「抗菌薬処方6割が不必要」という自治医大などの調査を発表した。抗生物質が効かなくなっていることは、かねてからいわれてきたことだが、大手新聞が正面から取り上げることは、これまでなかったことだ。

さらに2020年1月20日号の「AERA」では、「耐性菌から家族を守る」のタイトルで特集を組み、抗菌薬の効かない耐性菌による死者は8、000人に及ぶと具体数字まで上げて報じられている。AERAでもウイルスが原因でかかる風邪やインフルエンザに、いくら抗生物質を処方しても治療にならないことが強調されている。それどころか、抗生物質の多用は新たな耐性菌を生み、ヒトの生命を脅かす危険が増すことについても触れている。

訪日外国人4,000万人は手放しで喜べるのか

ところで訪日外国人の数を増やし、日本の内需の一翼を担ってもらう観光立国推進は、第二次安倍内閣の最も成功した施策かもしれない。2019年の訪日外国人の消費額は4兆8113億円と1月17日発表された。2020年の4、000万人達成は難しそうだが、東京オリパラの年でもありそれに近い数字に迫りそうだ。いまや3、000万人を軽く超えている訪日客が半減でもすれば、ホテルや旅館の連鎖倒産は地方を中心に大変な数になり、社会不安を引き起こしそうだ。

それだけではなく、これまで日本には存在しなかった新型ウイルスが入ってしまうのではないかという不安は潜在的にある。つまりこれだけの訪日客が簡単な審査だけで入国できるとすれば、いつパンデミック(感染爆発)が起こらないとも限らない。感染力が強い新型ウイルスが侵入してしまえば、当面は有効な治療法もないため、万人単位の死亡者が出る可能性もある。

そしてテレビのニュースショーなどの専門家やゲストのコメントを聞いていて思ったのは、日本が安全を担保できる衛生管理の仕組みは、これまでの専門家に任せていても出てこないということ。新型インフルエンザの侵入を防ぐための「水際作戦」で思い出すのは、2009年GWの事例だ。この時は4月29日に危険レベルを世界的大流行目前という「フェーズ5」に引き上げたこともあって、成田空港での検疫検査が連日報道された。ただあれで効果があるのかという見方が圧倒的に多かった。しかし、いま同じような事態になれば、同じような取り組みになるだろう。それほど日本のウイルス侵入阻止対策には進歩がない。それは世界各国とも同じかもしれないが。

一つの発明が大きく事態を変える

あの新型インフルエンザの水際作戦から約10年、状況は変わった。それは除菌剤のレベルが上がったこと。現状、除菌剤として最も効果が高いといわれる「次亜塩素酸」の使い勝手が良くなり、なおかつリーズナブルな価格での使用が可能になったこと。次亜塩素酸は気体では使いづらいため、液体化し「次亜塩素酸水」として使用する。

ところで、この次亜塩素酸水には「電解法」「二液法」「緩衝法」の3つの製法がある。最も古いのが電解法だが、これは低濃度のものしか作れず除菌力が弱い。また二液法は塩素を素材とするため、霧状に噴霧すると、どうしても塩素くさい。そうしたウイークポイントを解消したのが「緩衝法次亜塩素酸(水)」だ。この次亜塩素酸水は商品化されてからまだ10年ほどしかたっていない。

しかし、水と次亜塩素酸ナトリウムを緩衝体に通すことによってつくられる「緩衝法次亜塩素酸」は、濃度の調節が容易なうえに除菌力が高く価格もリーズナブルになったことで、公共的な衛生管理の新しい可能性を開くことになった。それは緩衝法の「次亜塩素酸水」の販売に関わるものとして実感できるところだ。

次亜塩素酸水を加湿器、あるいは噴霧器でミスト化して衛生管理に活用するそのコンセプトは「空間除菌」だ。インフルエンザをはじめとするウイルスに感染しないためには、空気中に浮遊するウイルスを100%に近く除菌することが一番の近道。一つの空間のウイルスをゼロにできれば、そのウイルスに感染はしない。

今後4,000万人近くまで増えそうな訪日外国人が持ち込むかもしれないウイルスを食い止めるためには、罹患者の発見と隔離治療をこれまでと同様徹底するとともに、潜伏期の患者予備軍が移動途中でまき散らすウイルスも除菌する必要がある。

飛行機、電車、バスなど移動途中の除菌にも注力

つまり、そんなことできないと過去の常識で決めつけるのではなく、次亜塩素酸水のミストを使った空間除菌によるウイルス菌のゼロ化が可能かどうかの社会実験をしてみる価値はあるのではないかということだ。成田、羽田を筆頭に国際便が運行されている空港はかなりの数に上るが、全日空、日本航空をはじめ海外の日本便も飛行機の内部を空間除菌してもらう、日本についても入国管理室、ラウンジ、そして年に向かう電車やリムジンバスを無菌化してもらえば、ヨーロッパ便であれば、少なくとも20時間近くは無菌状態での移動となる。その間ウイルス潜伏期の人からの感染は防げるから、新型の強力なウイルスであっても感染者数は減少するはずだ。

問題はコストであり、これから具体的なコストを積算しなければならないが、イメージとしては1機116億円でF35を整備するよりは、はるかに安くインフルエンザ流行期の海外からのウイルス侵入を防げるのではないか。これは健康保険の薬剤費を安くできるという二次的効果も期待できる。