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リテールテインメント入門<11>近海魚の強化で鮮魚を充実させる

●魚離れが進む日本人の食生活

中国、台湾、韓国などは魚への関心が高まり、サンマやサバでは1,000トンクラスの大型漁船で出港するようになっている。また冷凍設備の整った大型運搬船も導入、母港へ戻らなくても漁が続けられる態勢を整えて公海上で漁を行っている。これまで魚のおいしさに注目していなかった中国人も、そのおいしさに気づくとともに、13億人を支えるタンパク源に魚を位置付けようとしているのだ。

それに対して、最近の日本人の魚離れは著しい。統計上はこれまで大量にとれたイワシやサンマの漁獲量が減っているために、魚の消費量が減っているという説明がされていた。しかし、現実に魚が食卓に上る機会が確実に減少していることも事実だ。

2017年秋のようにサンマの水揚げが減り、1尾200円前後に張り付くと、メディアが先頭に立って大騒ぎしたが、仮に1尾100円を切ってもサンマを食べる機会が増えるわけではない。最近はガスや電気レンジも進化し、煙を出さずに脂の多い魚も焼けるようになっているが、それでも焼き魚は手間がかかるということで敬遠する主婦が多い。その結果、スーパーマーケットの鮮魚部門では、焼き魚や煮魚などの、おさかな惣菜が売れ筋商品になるトレンドになっている。

●二極化するスーパーマーケットの鮮魚部門

魚、肉のレンジアップ商品

スーパーマーケットの鮮魚売場で特徴的なことは、これが同じ業態かというほど店舗間格差が

大きいことである。百貨店に入っている専門店には及ばないが、かなりレベルの高い店舗がある一方で、秋であればサンマとマグロでお茶を濁しているような店舗もある。このように低レベルの鮮魚売場のスーパーが多いのは、鮮魚はロス率が高く利益を取りづらい部門だからだ。なかには「自慢ではないが、わが社の鮮魚部門はここ20年ほど利益を出したことがない」と豪語する鮮魚担当の役員がいるほどだ。

しかし、SMは鮮魚をあきらめている店舗が多い分、逆張りで力を入れると利益部門になると考えているチェーンもある。というのも鮮魚で勝ち組に入れば、店舗の商圏が広がり、客数が増える可能性が大きいからだ。また、鮮度管理のできた、おいしい魚を買ってくれるお客さまは、お金に糸目をつけず、魚を購入してくれるため、客単価がアップする可能性があるのだ。

そこで鮮魚強化のため、マグロ以下の全国流通の魚だけではなく、近海魚のMDを充実させたのがイオンだ。同社は全国各地の漁協と組み、獲ってきた魚の一艘買いを実施、生産者との関係を強化していった。定置網であれ底引き網であれ、狙った魚種とは違う魚も入ってくる。従来これらの魚は、「ゲテモノ」ということで廃棄されることが多く、1網換算の生産性を下げていた。したがって、イオンの一艘買いは、漁師にとっては有難い取引形態といえる。広島、岡山、香川の3県で急成長しているエブリイも地元漁協とこの一艘買いを行っている。

また売場づくりの面から鮮魚強化をアピールしているのがヤオコーとサミットだ。ヤオコーは大型店で鮮魚の売場を成果に続く通路に持ち込み、対面販売でライブ感のある売り方を行っている。一方、サミットは最近はオープンキッチンの鮮魚売場に氷敷き丸魚コーナーを設けて、臨場感のある売り方を行っている。