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リテールテインメント入門<10>スーパーの寿司を牽引する魚屋のにぎり

●世界にスシになった日本のにぎり寿司

アメリカのスーパーマーケットでは、ミールソリューションの定着以来、イートインコーナーやテイクアウトしてすぐ食べられるデリカテッセンメニューが人気となっている。それらのデリカテッセン商品のなかで日本代表の存在感を示しているのが「にぎり寿司」だ。パブリックス、ホールフーズなどのなどのクオリティスーパーでは、ミールソリューションゾーンに必ずスシの対面売場が設けられている。

このスシ人気はアメリカだけではなく、イギリスなどのヨーロッパやアジア各国でも同じ。カリフォルニアロールのように欧米の人には異和感のある海苔を内側に巻き込んだ、独自の進化を遂げた巻物も登場してきている。また、盛り上がるインバウンド消費のなかで、来日観光客の寿司人気は高まる一方だ。中央魚市場は築地から豊洲に移ったが、築地には外国人向けの寿司屋が林立、銀座の名店ほどではないが、かなりいい値段を取っている。

●スーパーの寿司をリードする魚屋の生寿司

くら寿司武蔵野店

日本人にとっても、今ほどにぎり寿司が身近な存在になった時代はないのではないか。にぎり寿司は日本人にとっても、かつてはかなり敷居の高いごちそうだった。親戚や知り合いの家を訪ねたとき、出前の寿司を取ってもらい、思わぬ至福の時を過ごした人は多いのではないか。それが回転寿司の登場以来、にぎり寿司はすっかりカジュアルな食べ物になり、これまでとは比較にならないほど食べる機会が増えた。

持ち帰りの寿司もバラエティが増した。昔は京樽とか小僧寿しなど数えるほどしかなかった。しかし、最近は鮮魚専門店が、駅ビルやショッピングセンターに寿司専門店も同時に出店している。それだけではなく、スーパーマーケットの惣菜売場に行けば、ほとんどの店舗ににぎり寿司と巻物が並んでいる。その数は1万店舗を軽く超えているだろう。CVSチェーンも、時々、果敢に寿司にチャレンジするチェーンが出てくるが、鮮度管理の難しさがあり、定着するまでには至っていない。

鮮魚部門のにぎり寿司売場

またスーパーマーケットのにぎり寿司は、ここへきて品質アップが著しい。なぜなら主力の惣菜部門の寿司は使うネタが冷凍ものに限られ、それを解凍して握っているため、味の点で限界があるのだ。そこで最近増えているのが、生のネタを使った鮮魚部門―いわゆるスーパ―の魚屋さんのにぎり寿司だ。

惣菜部門のにぎり寿司が、安ければ8貫―500円でも買えるのに対して、同一店舗の魚屋のにぎり寿司は最低でも8貫―800円、ウニとか中トロが入ると980円前後まで売価はアップする。そして最近のスーパーマーケットでは、にぎり寿司に対するニーズが二極化しているため、500円のにぎり寿司も1,200円のにぎりもよく売れるのだ。ヤオコーの一部の店舗のように、鮮魚部門の寿司売場に、寿司屋の付け台のような演出を凝らし、楽しい売場づくりをしている事例もある。