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リテールテインメント入門<6>気持ちの休まるサービスプロモーション

●日曜開店時の豚汁サービス

セブンーイレブンの「開いててよかった」とかローソンの「街のホットステーション」などは、いまや半世紀近く使われているキャッチフレーズだ。これらがアピールしているのは、どんな時間でも営業している、あるいはそこに存在する安心感だ。地方で夜道に迷ったときなど、遠くに明かりを見つけて、それがコンビニだった時のうれしいこと。つい最近もブラックアウトした北海道で、地元CVSチェーンのセコマ(旧セイコーマート)が自家発電で明かりを確保、ガス釜で炊いたごはんでおにぎり、弁当を調整して北海道の居住者や旅行客の災害直後の暮らしを支えたことが、大きな話題になった。このような店舗そのものがやすらぎとなるケースとは別に、スポット的にサービスプロモーションで癒しを提供している事例もある。(ただ取材から時間が経っているので、以下の事例は現在は中止されていることもあり得る)例えば宮城県北部の登米市や桑原市から三陸、さらに仙台市へ進出しているウジエスーパーの長町店では、仙台市へ1999年に進出したが、宮城県への最大都市への後発参入という事情もあり、秋冬の日曜日には開店時に、入店してくれたお客さまに豚汁をふるまい、寒い中並んでくれた人をねぎらった。その分、同店のスタッフは少し早く出勤しなければならないが、喜んでくれるお客さまの顔を見る楽しさは、何者にも代え難という。

●商店街でアイスコーヒーを無料でサービス

商店街でも顧客サービスを行っているケースがある。数年前岡山県の天満屋ストアが岡山市の表町商店街に都市型小型スーパーを出店したことがある。その取材にいったときのこと。少し時間があったので、表町商店街の一角の用意されたテーブルと椅子のコーナーで休憩していたら、レディースのアパレルショップから女性店員が出てきて「もしよろしければ、アイスコーヒ―をお飲みになりませんか」と声をかけてくれた。話を聞くとアイスコーヒーの無料サービスを行っているとのこと。時間がありそうな人には暑い夏場には、サービスしているとのこと。こうしたサービスが、直接売上アップにつながるわけではないだろうが、少しでもお客さまを増やそうとする取り組みには頭が下がる。

●大都市の商店街にも悩みはある

また郊外に顧客を奪われ、厳しい状況が続く全国の駅前商店街だが、新規客の開発のため、プロモーションを実施するところも増えている。その一つが松山市のお城近くの大街道商店街の取り組みだ。大街道商店街は、組合の販促実行体制が整ったきれいな商店街。ここでは夏場は早朝から午前中にかけて大街道商店街入口で、産直青果市を行い集客のフックにしている。販売されている野菜やたまごは、東京くらしの人間にとっては、びっくりするほど安い価格設定になっている。

地方都市だけではなく、首都圏でもエリア間競合はある。私の地元である武蔵野市では、中央線の駅順に吉祥寺、三鷹、武蔵境とあり、吉祥寺が圧倒的に優位に立っている。そこで武蔵境では、地元で栽培された唐辛子を料理に使った「唐辛子料理」に工夫を凝らした飲食店に参加してもらい「境のとんがらしうまからり―2018」を毎年9月、10月に実施している。これは集客力のある吉祥寺への対抗策でもある。