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リテールテインメント入門<5>リハビリとしてのショッピング

つい最近まで飲食店や小売店だった建物が、老人ホームに建て替えられるというケースが増えている。高齢者の増加とともに、介護施設のニーズが高まっているのだ。また特別養護老人ホームには、各種補助金がついていたりして、うまみが大きいという事情があるケースもありそうだ。老人ホームに入ってくれれば、食事から介護まで施設が面倒を見てくれるので、家族の負担はぐっと下がる。

ところで特別養護老人ホームをはじめとする施設で暮らす高齢者が増えてくると、お昼過ぎから午後3時頃までのスーパーマーケットのアイドルタイムに、施設のスタッフやボランティアに付き添われて買物している高齢者の姿が目につくようになった。なかには軽い認知症の症状が出ている人もいて、付き添う人も大変だろう。重度の認知症の人は、病院への転院を要請されるケースもあるようだが、中にはショッピングによって記憶が戻ったりするケースもある。

例えば、老人ホームの食事には、デザートにプリンやゼリーが付いたりするのは当たり前だ。ただプリンといっても施設で出るものは、コストを安くするために、老人ホーム用の特性プリンがセットされることが多い。

しかし、スーパーマーケットに買物につれていってもらうと、洋日配売場に陳列されているデザートのなかに、江崎グリコのプッチンプリンを発見、その商品から「昔、子どもたちが好きだったわね」ということになり、かつての暮らしの記憶が蘇ってきたりする。これはコスト優先の施設のプリンにはない、メモリアルマジックだ。

つまり、老人ホームに入り買物する機会がなくなっている高齢者にとって、スーパーマーケットでさまざまな商品を目にしたり、イートインコーナーで紅茶とデニッシュでお茶したりすることで、気持ちが若返ったりする効果もあるのだ。したがって高齢化とともに施設に閉じ込めるのではなく、手間はかかるが買物や散歩に連れ出し気持ちを活性化させることも必要だ。自分の足で歩くか、車いすを利用するかは別にして、買物によるリハビリは馬鹿にできない効果がある。

SMチェーンとしては、老人ホームなどの施設と提携し、リハビリショッピングの受け入れをするのも、社会的意義の大きい販促になる。