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ファミマ、ユニー、ドンキの新企業グループ誕生―得をしたのはどこか?

アメリカではシアーズが米連邦破産法11条を申請

3連休明けの10月9日週になって、日米とも小売業に大きな動きがあった。アメリカでは、かつて全米小売業トップに立ったこともあるシアーズが、米連邦破産法11条(日本でいえば民事再生法)を申請することが明らかになった。アメリカでは今年トイザラスも倒産したので、それに続く大手チェーンの経営破綻ということになる。

しかし、シアーズの経営破綻は、アメリカ小売業の変化を語るうえでは象徴的だ。シアーズは時代ごとに展開する業態は変わってきた。最後は百貨店とディスカウントストア(Kマート)が主たる事業だったので、それがともに衰退業態ということを考えれば、同社の倒産そのものは無理からぬものがある。とはいえ全米にまだ店舗網が整はない時代に、カタログ通販で基礎を築き、大型店の展開で全米一となったシアーズが、やがてネット通販のアマゾンなどに足元をすくわれたのは、時代のアイロニーを感じさせる出来事だ。

日本ではユニー・ファミマHD×ドンキHDの流通第3極が誕生

日本では同時期、ユニー・ファミリーマートHDがドンキホーテHDの株式の最大20,17%をTOBで取得、イオン、セブン&アイHDに続く事業規模4兆7,000億円の第3の流通グループが誕生することになった。ドンキホーテHDは、19年1月にユニーの株式の残り60%をユニー・ファミリーマートHDから取得、100%子会社とすることになった。同社は社名も「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」に変更することも発表した。また同社は、創業者の安田隆夫氏を、改めて非常勤取締役候補者にすることを決議、組織を挙げての取り組みとする方針だ。

しかし、ユニー・ファミリーマートHDからするとドンキホーテHDは、役員は派遣するとはいえ、持ち分適用関連会社にしかすぎず、企業グループとしての関係性は薄い。持ち分比率20,17%では競合他社が敵対的TOBを仕掛けて来れば防ぎようがない。ユニー・ファミリーマートHDとドンキホーテHDの企業連合は、イオンやセブン&アイのように、総合流通業をめざすうえで必要不可欠な業態を集めているわけではなく、かなり刹那的な流通グループだ。

今回の経営統合は、どこが得をしたのか

ユニー・ファミリーマート・ドンキグループは、短期間のうちに統合が進んだ。2016年9月にファミリーマートがユニーグループHDを吸収、2017年11月にはドンキホーテHDがユニーの株式40%を取得して役者が出揃った。ただ3社の思惑は微妙にずれており、今もそれは修正されていない。「ファミリーマートは、セブンーイレブンを追いかける上では、サークルKサンクスの店舗は、ノドから手が出るほど欲しかった。しかし、ユニーグループHDを吸収すれば、必然的についてくるアピタやピアゴのサバイバル策は持ち合わせていなかった。」

一方、「ドンキホーテHDは、長崎屋をはじめGMSチェーンが手放した店舗を次々に取得、連結売上高を7,000億円規模にまで大きくしていたが、年間30店舗程度の出店では、一気に売上をボリュームアップするのは難しかった。そこでドンキは、ユニーは地域的には少し中部に偏るが、ドンキのエンターテインメント型売場を導入すれば、ユニーの店舗をほぼまるまる吸収しても、3,000億円前後の売上の積み上げは可能と踏んだのだ。そこでドンキホーテHDは、2017年11月にユニーの株式の40%を取得する形で一気に勝負に出た。

ドン・キホーテ吉祥寺店

しかし、今回の主役3社のなかで悲惨だったのはユニーだ。同社は単独で生き残りを模索するなかで、最後は企業防衛の意味あいだけで、ユニーとサークルKサンクスを合併させてユニーグループHDとした。ただ、これは何らかの展望があったわけではない。つまり、ユニーには「アピタ」も「ピアゴ」、さらにはサークルKサンクスについても再建の決め手はなく、北風が過ぎるのをやり過ごすしかなかった。これでは東海のビッグチェーンとして、堅実に拡大してきたユニーとしては、知らぬ間に日本の小売ビジネスから退場せざるを得ない状況へ追い込まれつつあったのだ。ただ、当面の再編では,勝者に見える伊藤忠商事とドンキだが、このまま勝者であり続けられる保証はない。ともに年間営業利益が1,000億円程度確保できる間に、新しいビジネスを開拓しなければ、いずれジリ貧になってしまう恐れは十分ある。