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リテールテイメント入門<3>レジの変遷とお客さま第一主義

最近、商品の登録は店舗の従業員が、お金の精算は自分で済ませるセミセルフレジが増えている。レジの担当者からすると、お金を扱わなくなったため、現金をめぐるトラブルが減り、心理的に楽になったということだ。顧客のほうも、それほど難しい操作ではないので、おおむね好評のようだ。ただお客さまもいろいろな人がいる。なかには最後のレジでの精算は、旧来タイプのフルサービスにして欲しいという顧客も一定数いるため、最低1台のレジは旧来タイプにしている店舗も多い。写真のライフクロスガーデン調布店では、フルサービス、セミセルフ、入力も自分でするフルセルフの3タイプのレジをすべて揃えている。

さまざまなタイプのレジが並ぶ

セミセルフレジを採用する業種もスーパーマーケットだけではなく、広がりが出てきている。例えば筆者が時々利用しているベーカリーでもセミセルフレジを導入しているが、同店ではパンをトレーに裸で展示しているので、袋に入れてバーコードをつけるのは手間がかかるうえにフレッシュ感が損なわれる。そこで同店では画像認識のシステムを採用し、顧客が自分のトレーに入れたパンをその形で認識し、瞬時に消費税を含む合計金額がレジに表示されるようになっている。あとは顧客が現金を投入して精算、レシートを受け取れば支払いは完了する。スーパーマーケットはレシートを渡すのがマニュアルで決まっているが、コンビニではレシートを渡さないアルバイトが多い。これはレシートを持ち帰らない男性客が多いためだが、やはりレシートは基本的には渡した方がすっきりする。

しかし、レジの仕様変更では、1980年代後半に本格的に普及したPOSレジのほうがインパクトが大きかったように思う。それまで手入力していたのに、スキャンするだけでどの商品をいくつ買ったか認識できるのは凄いイノベーションだった。商品台帳の価格設定に間違いがなければ、精算ミスもない。手入力の場合は、100%完璧な入力はありえない。つまりお金をめぐるトラブルが急減したという意味でもPOSレジは画期的だった。

またPOSレジが普及することによって、レジは単なる生産機器から販売データが蓄積できるようになり、従来の感覚的販売管理が、POSデータに基づいた科学的販売管理に変わった。この結果、どの商品がどのように売れているかが明確になり、商品改廃は数字に基づいたものに変わった。さらに最近では、POSデータがID-POSデータ分析に変わることで、だれがどの商品を、どのようなオケージョンで購入したかが分析できるようになってきている。つまりPOSレジ以前と以後では、スーパーマーケットに並んでいる商品の消費者ニーズとのすり合わせ精度は確実に上がっている。逆にいえば、数字で明確に答えが出る分、SMのオーナーや担当者が売りたい商品が並ぶ確率が減少しており、SMの画一化が進行している。